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いざ鎌倉へ。秋の円覚寺で坐禅会に参加してきたはなし | HUG

いざ鎌倉へ。秋の円覚寺で坐禅会に参加してきたはなし

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座禅会、初体験

コロナの新規感染者数が落ち着きつつある、10月末日。
坐禅のトリコになっている編集長に連れられて、由緒正しき北鎌倉は円覚寺にて、坐禅を初体験。ライターこまるの坐禅体験記。

私の「坐禅」のイメージはこうだった。お釈迦様ポーズでおとなしく座り続けて、雑念に駆られてゆらゆらしたら、お坊さんに木の棒で肩をビシッと叩かれる。The・素人である。編集長から「円覚寺では叩かれないよ」、と聞いてホッとする私。

今回の舞台「円覚寺」はJRの北鎌倉駅からすぐの立地だが、境内への階段を上がり正門をくぐると、そこは別世界に来たような厳かな雰囲気。秋めいた木々が迎え入れてくれて、「そうだ、京都行こう」のCMテーマが頭に流れる。

私が参加した週末坐禅会は、「選仏場」という建物で行われる。選仏場とは、仏を選び出す場所という意味で、修行僧の坐禅道場のことだそう。まさに本場で坐禅体験ができるわけである。

薬師如来像が見守る道場内には、向かい合わせに2列ずつ座布団が用意されていて、その日の参加者は20名前後といったところ。この日は私より歳を重ねてらっしゃる方が多かった(「回によって年齢層もバラバラだよ」と編集長は言っていた)。
作務衣を身にまとい、裸足で参加されている方もちらほらいて、ロングスカートで参上した私は少々圧倒された。

「選仏場」

雑念が湧くわ湧くわ……

座禅会は、内田一道和尚さんの話をはさみ、15分〜20分の坐禅を3セット行う。
その日は初参加の人が多かったようで、和尚さんの話は堅苦しいものではなく、ストレッチのようなことをしつつ、坐禅に向かう準備をする感じであった。

坐禅のポイントは、呼吸と姿勢の2つに注意を集中することだそう。簡単そうに聞こえて、これがとても難しい。
呼吸は、下腹部を「1階」、胸辺りを「2階」というように、上半身を建物に見たてる。過呼吸にならない程度に、1階にも2階にも息を通して「深く、大きな呼吸」をする。海のように大きなイメージだろうか。
姿勢は、脚を無理なく組み(親切・笑。坐禅というと「あの」難しそうな組み方を想像するけれど、和尚さんは、さまざまな組み方を伝えてくれて、無理のない姿勢でOKだという)、骨盤を立てて、背骨を伸ばし、まっすぐにした上半身の上に頭を乗せる。頭は天井から吊るされているようなイメージで、少し顎をひき、目は半目か閉じる。手は親指以外の4本指を重ね、親指同士をくっつけて楕円形をつくり、下腹部前にセット。

呼吸と姿勢を正すと、「思考が止まる、”しっくりくるポイント”」がある、と和尚さんは言う(心の中で「ほんまかいな」とつぶやく私。笑)。必死に探してみたけれど、案の定、私には見つけられなかった。捜索願をぜひ出したい。
そして、意外に半目も難しい。集中が逸れてしまう。

選仏場内部

実を言えばそんな私の趣味は、フラやピラティス、そしてヨガだ。だから、腹式呼吸・胸式呼吸に触れたり、呼吸や姿勢に集中する練習はけっこうしてきた。それに、仕事柄マインドフルネスを学んで実践する機会も多く、「今」に集中する感覚もそこそこわかっていたつもりだった。友人のすすめで毎朝5分の瞑想自主練も始めて、気合い十分で今回の初坐禅会に挑み、ちゃんと坐禅ができるような気がしていた。

が。いざ坐禅タイムに入ると、全く集中できないのである。和尚さんが鳴らす鐘の「チーン」という音に、なぜかにやけてしまう。他の人のお腹が鳴る音(意外と各所から聞こえる)や、呼吸の音、トンビの声、鳥のさえずり(鎌倉だからか、お上品に聞こえて不思議笑)、観光客の声、数珠の音など、「音」に注意をもっていかれる。ちなみに、深い呼吸をすると腸の動きがよくなって、お腹が鳴ることはよくあることだという。そして、生理現象により、おならはしていいらしい。

その後には、「この後、何を食べようかな」「編集長は何を考えているのかな」など、雑念が雲のようにぷかぷか浮かんでは消えていく。「いけない、いけない、今に集中、呼吸と姿勢に集中」と心の中で唱えてみても、雑念ループは断ち切れず……。最終的には「寒い、寒い、寒すぎる、トイレに行きたい!」のループで終了……。修行が必要だと痛感した。
例の肩を叩かれるシステムがあったら、きっと私が和尚さんを独り占めだったことだろう。

この日の流れはこんな感じ。
まずは和尚さんから簡単な挨拶があり、みなで少しストレッチ。基本の呼吸と姿勢を教わって1回目の坐禅を15分。痺れたり凝ったり冷えたりした体をさすったり伸ばしたりして、2回目の坐禅を20分。間髪入れずに、最後の坐禅を15分。
終わりには、神仏分離令や薬師如来像のお話をしてもらい、仏教に触れたような気分で終了。

自分を「調える」座禅

今回の1時間半の坐禅初体験で、自分と向き合い、”調(とのの)える”方法のひとつ、きっかけを得られた気がする。道具が無くとも、身一つでいつでもどこでもできる坐禅。しばし自主練を重ねて、自分の味方にしたいと思った。

住む場所も、所属するところも、背景もバラバラだけれど、この日、この時間に、ここで坐禅をするという同じ目的で集った人たち。参加の動機もさまざまだと思うが、そういう人たちが静謐な空間に一堂に会して共に坐禅を行う一体感と、円覚寺での坐禅という趣きに、心身がじんわりと癒されるのを感じた。

円覚寺の最寄駅の北鎌倉駅は、鎌倉駅から1駅。ゆっくり歩くもよし、電車移動もよし。坐禅の後は、余韻に浸りつつ、鎌倉ナイトを楽しむのもオススメだ。
ちなみに私は、編集長と鎌倉の「小町通り」で鎌倉ビールを片手に鎌倉フードを楽しんだあと(坐禅の後に、五臓六腑に染み渡る鎌倉ビールは最高!)、味わいのある居酒屋さんで(お清めと称して)日本酒を嗜んだ。

坐禅にいざなってくれた編集長に感謝!合掌!


円覚寺坐禅会について

円覚寺では何種類かの坐禅会を開催しているが、今回私が参加したのは「選仏土曜坐禅会・選仏日曜坐禅会」。毎週土曜と第1・3・5日曜日に開催されている。時間は14時半から16時の1時間半。初心者も歓迎してもらえるので安心。ネットでの事前予約が必要。換気の良い空間で、間隔を空けて、安心して坐禅ができる環境が整えられている。ただし、これからの季節、防寒対策は必須。
オンラインで参加可能な坐禅会もあり、詳しくは、円覚寺「坐禅会・写経会」で。

円覚寺について

 鎌倉時代後期に創建された禅寺(臨済宗)。鎌倉五山第二位。
弘安5年(1282年)、北条時宗が中国・宋から招いた無学祖元禅師によって開山された。室町時代から江戸時代にかけて何度かの火災に遭い衰微したこともあったが、江戸時代後期に復興されて今の円覚寺の基礎が築かれたという。本尊は木造釈迦如来坐像。境内はとても広く、四季折々の自然に触れながらゆっくり散策するのもおすすめ。
拝観料は大人500円、子ども300円。

 

本殿